コニカミノルタ株式会社様

今回は、コニカミノルタ株式会社のBusiness Innovation Center(BIC) Japanでマーケティング担当&インキュベーションリードとしてご活躍されている台湾ご出身の蔡 咏芸(サイ ヨンウィン)様にお話をお伺いいたしました。サイ様は高雄市ご出身で、台湾の大学を経て日本へと留学、一橋大学を経て、現在はコニカミノルタ株式会社でご活躍されています。

(編集部)サイ様、本日はお忙しいところお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。はじめに台湾での学生時代のことを教えていただいてもよろしいでしょうか?

(サイ様)こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。私は台湾の高雄市出身なのですが、当時は友達とともに日本のアイドルグループやテレビ番組を楽しんでいました。「V6」「KinKi Kids」「嵐」といったグループが好きでしたね。学生時代は情報処理関連の部活に所属しながら、パソコンを用いたソフトウェア処理を中心として楽しく活動していました。まだ家庭でパソコンを自由に扱える時代ではありませんでしたので、学校で部活の仲間とパソコンに触れながら、画像処理などを通じて純粋に楽しんでいました。そして高校2年生の時に理系か文系を選択することになり、自然の流れで理系を選択しました。その後、大学では情報処理を専攻しながら、日本語スクールに通ったり大学の日本語学部を傍聴したりもしていました。当時は一人暮らしをしながら様々なアルバイトを経験していましたね。

(編集部)サイ様はその後、日本の大学へと留学されていますが、その経緯や当時の就職活動について教えていただけますでしょうか?

(サイ様)大学卒業後は一旦働きながら、日本の大学院へと奨学金を貰いながら進学するために、「院試の勉強+アルバイト」の生活へと切り替えました。台湾の学生が留学する先としてはアメリカ、イギリス、オーストラリアや日本などが挙げられるのですが、私は馴染みのある日本へと留学することを決めました。そして無事、一橋大学大学院商学研究科に合格することができたため、研究生としての一年間を経て、大学院生としての生活がスタートしました。留学した当時は小平のシェアハウスで台湾出身の数名とともに暮らしていました。日本での就職活動はとても大変でしたね。最初は就職活動のコツが分からず、試行錯誤の連続でした。今だから話せるのですが、66社エントリーしていたように記憶しています。そうしてなかなかうまくいかない日々を乗り越え、留学生の仲間と共同戦線を張ってお互いにエントリーシートの書き方や業界分析などを助け合いながら、結果的には複数の企業から内定を獲得することができました。金融機関のインターンシップにも参加したのですが、あいにく、あまり自分には馴染まないように感じました。その中で、東京に拠点を置きながらグローバルに活躍することのできるコニカミノルタへと入社することを決めました。

(編集部)入社してからはどのようなキャリアを歩まれたのでしょうか?

(サイ様)入社後は研修期間を経て、インクジェット関連部署に配属されました。研修期間には、女性で台湾出身である自分にとって、日本企業で働くための非常に大きな気づきがありました。ダイバーシティ促進のグローバル企業において、現場レベルでの葛藤や迷いは当然あるにせよ、自らの日本で働く目的やキャリアプランを常に意識しながら、大小の試練をビジネスパーソンとして乗り越えていくことを心掛けるようになりました。配属部署ではインドや中国、韓国といった海外市場のお客様と対峙しながら、自社のR&D部門とも連携しながらグロールビジネスに携わる日々でした。現地出張の際には、言語面や異文化ビジネスコミュニケーションにおいて台湾出身の私が日本企業で働いていることが思いがけず活きる場面もありましたね。そうした時には自分にしかできない仕事を遂行している実感がわいてきました。

(編集部)その後、現在のBICへとご異動されたのでしょうか?

(サイ様)その当時、ちょうど自分自身のキャリアを見つめ直していた時期だったのですが、マーケティングや事業創発を行える人材をBICにて初めて社内公募していました。「この先のキャリアプランを考えて、ここで思い切って挑戦してみよう」そのように思い立ち応募してみたところ、幸いにも希望が通って異動することとなりました。自ら新事業を起案することもできる立場になりましたが、3名のチームで非常にフラットな関係を築けているように思います。AiLingualという多言語電子マニュアル作成・共有ツールを開発するにあたっては、学生時代に専攻していた情報処理が役に立っています。責任も感じながら、事業のスケールアップに貢献することで、自らのスキルアップを絶えず図っていければと思います。

(編集部)ダイバーシティ推進について、どのようにお考えでしょうか?

(サイ様)けっしてダイバーシティ推進の旗振り役を外国人社員に丸投げ・押し付けようとするスタンスではうまくいかないように感じています。誰しも好んで嫌われ役を引き受ける人はいないですし、留学生の皆さんがそうした役割を背負ったり気負ったりする必要もありません。台湾出身の私が日本におけるハイコンテクストなビジネスコミュニケーションに馴染んでいる反面、もし仮に几帳面すぎる職場で働くことになったら私個人としては息苦しいかもしれませんよね……つまり、それらは異文化ビジネスコミュニケーションや国民性云々というよりも、一人ひとりの個性やキャラクターに依存している事象であり、お互いに異なることを前提として相手の立場に立って考えることが何よりも大事なように思います。

(編集部)最後に留学生の皆さんへのメッセージをお願いいたします。

(サイ様)これからは戦略的に、自分自身の日本で働く目的を明確に定めておくことがお勧めです。お金を稼ぐ、スキルアップする、楽しく働く、都心で暮らす、ワークライフバランスを充実させる、グローバルに活躍する、等々といった優先順位を自己対話から見つけ出し、その優先順位によって日本で働く際の意思決定を行っていくことで、後悔の少ないキャリアデザインを描くことができるように思います。もちろん人間ですから、悩むことも多々ありますし、その都度、素直に自分自身の心と向き合うことも肝要ですよね。そして同時に、日本での人脈づくり・ご縁を大切にしていくことで、この先の自己実現や人間力向上の助けになっていくことは間違いありません。これからも、お互い志高く、頑張っていきましょう。

(編集部)サイ様、本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。